手刻みの継手の特徴を実験で検証しました

松戸市にある株式会社大功さんとの共同研究で、千葉県の県産材(サンブスギ)を活用した地産地消の家づくり『愉くらしの家』に取り組んでいます。

 

愉くらしの家の特徴は、

  • 県産材(サンブスギ)を使用すること
  • 宮大工の伝統構法でつくられること
  • 建築家によるオーダーメードの家であること

の3点です。

『愉くらしの家』県産材サンブスギと自然素材・宮大工の伝統構法で作る平屋の家

 

今日はこの「宮大工の伝統構法」をより多くの方々に知っていただける機会を作れないか、ということから、試験的に宮大工さんのつくる継手の強度実験をプロジェクトメンバーでおこないました。

 

継手(つぎて)というのは、木と木を加工して、接合することです。

伝統的な方法では、大工さんが丸のこ、ノミ、カンナなどを使って、接着剤やビスを使わずに木だけで力強く接合することができます。 

電動丸のこを使うと言っても、位置や正確さは大工さんの腕次第となり、手刻みによる継手=大工の技量の見せ所、と言って良いでしょう。

 

予め宮大工さんが手刻みで加工した継手を準備し、

何キロの重りまで耐えられるかという実験をおこないました。

材料は一般的な3.5寸の杉です。

 

手刻みの継手は、「金輪継ぎ」と呼ばれる手法で、接合部にけやきの楔(くさび)を打ち込むだけで、プレートによる補強はしません。

上の写真は接合する直前の木と木を、上から見たところです。

この真ん中の穴に、楔を打ち込んでいくことで、2つの木が力強く接合します。

 

さて、ここから実験開始です。

ネットを吊るして、1袋25kgの袋を1つずつ置いていきます。

写真は4袋、100kgを吊るしたところです。

お気づきになるかわかりませんが、重りを吊るした1本の木が(実際には2本の木が継手で接合しているわけですが)、まっすぐに耐えています。歪みがほとんど出ていません。「しなる」というような状況に近いです。この「しなやかさ」こそが伝統構法の特徴でしょう。

 

継手もほとんど隙間がなくぴったりと収まっています。楔によって、重りを吊るされた木の接合が、より強くなっているように見えます。

 

結果的に、用意した200kgの重りをすべて吊るしても、ほとんど変化はなく、軋む音やヒビも入りませんでした。

某テレビ番組では、大工さんの継手が250kgくらいまでは耐えていたので、この継手もまだまだ耐力がありそうです。

 

下から覗き込んでもこのように2本の木がしっかりと一体化されているのがわかります。

 

さて、面白いのはここからで、ビスを使わない継手は、重りを取り除いて楔を抜いていくことできれいに分解することができます。

 

分解された継手を見ても、ヒビが入っていないことがわかります。

これは加工の際に、繊維をしっかりと切って、余計なヒビが入らないように丁寧に加工しているからだそうです。大工さんによっても腕があるようで、今回は特に優れた加工のようでした。さすがです!

 

今回は伝統構法の特徴を知るために実験をおこないました。

手刻みによる伝統構法の継手は、手間と技術がかかる分、それ相応の「しなやかさ」を持つということが分かりました。伝統構法で建てられた社寺が何十年、何百年も保つというのも、ここに理由があるのかもしれません。

そして、このような技術は日本の大工さんが誇るものであり、後世に伝えていく必要があると感じました。