リソル生命の森CCARC構想

背景と目的

人口減少と超高齢化社会を迎えたわが国では、「人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させる」という負のスパイラルが危惧されています。特に、地方と東京の経済格差によって、若い世代の東京一極集中と地方からの流出が顕著になるなか、千葉の地方部においても若者の流出が深刻な問題となっています。
千葉大学は2015年から、県内の大学、自治体とともに、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(通称COC+)」に取り組んでいます。このCOC+とは、地方からの若い世代の人口流出に歯止めをかけるため、地方が求める人材を育成し、若者に魅力のある仕事をつくり、定着してもらう国の補助事業です。
その一つが、長柄町におけるCCRC事業です。CCRCとは、Continuing Care Retirement Communityの略で、「首都圏の元気な高齢者が地方に移住し、健康でアクティブに暮らし、必要に応じて医療や介護が受けられるまちづくり」を目指すものです。CCRCは、アクティブシニア向けの新たな産業と雇用創出が期待でき、町の活性化に寄与できます。国では、CCRCのことを「生涯活躍のまち」と呼んでいます。
このような背景から、千葉大学では、本構想に参画することで、以下の目的の達成を目指しています。

(1)本構想によって実現するCCRCが、将来的な若者定着の受け皿となる可能性があること。

(2)地域志向の教育、研究のフィールドとして活用できること。

(3)地域と大学がともに発展する好循環モデルの構築が期待できること。

本構想の実現に向けて、千葉大学、リソル生命の森、ミライノラボが一体となって取り組んでいます。

長柄町版大学連携型生涯活躍のまち構想

千葉県のほぼ中央に位置する長柄町は、人口およそ7,000人、面積47.11㎢の町です。1995年をピークに長柄町の人口は減少し、一次産業の高齢化・後継者不足、公共交通の衰退などの課題を抱えています。一方、首都圏に近接した立地性、周辺に千葉市、茂原市、市原市といったベッドタウンが広がる利便性、水と緑に囲まれた豊かな自然環境、中房総の比較的安定した地盤、充実した医療施設など、地域のポテンシャルは高いと言えます。町内には1988年のソウル・オリンピックの事前合宿地として建設された「リソル生命の森」があり、国が推進する生涯活躍のまちで求められる、健康、医療、生涯学習のための環境が整っています。
このような長柄町のポテンシャルと、リソル生命の森という地域資源を活かし、日本版CCRC構想に則って「長柄町版大学連携型生涯活躍のまち」を推進しています。その中核をなすのが、「リソル生命の森大学連携型CCARC」です。

リソル生命の森大学連携型CCARC構想

計画地であるリソル生命の森は、ファミリー層から高齢者層まで年間40万人以上が訪れる複合リゾート施設です。およそ100万坪の広大な敷地に、ゴルフ場、テニスコート、スポーツジム(日本メディカルトレーニングセンター)をはじめとした本学的な運動施設が整っています。さらにコテージ、リゾートホテル、レストラン、プール、アスレチックからなるレジャー施設、人間ドックや外来診療をおこなう診療所、講義や研修で利用できる講義棟などがあります。
リソル生命の森大学連携型CCARC構想は、国の「生涯活躍のまち」を基盤とし、千葉大学による「学び」の機会の創出によって大学連携型「CCRC」を実現するだけでなく、リソル生命の森ならではの「楽しむ豊かさ」を提供することで、全国初の「CCARC(AはActiveの略)」の実現を目指しています。

基本コンセプト ~健康寿命延伸まちづくり~

リソル生命の森大学連携型CCARC構想の基本コンセプトは、「エビデンスに基づいた健康寿命延伸まちづくり」です。豊かな自然環境のなかで、運動による「フィジカル」と社会参加による「メンタル」の両面から健康寿命延伸に取り組みます。
実際の検討にあたっては、健康寿命延伸まちづくりを、「身体」「心」「環境」に分解しています。健康な身体については「歩きたくなる街」、健康な心については「知でつながる街」、健康な環境については「環境を大切にする街」というテーマを立て、それぞれの実現に向けた具体的な取組みをおこなっています。それぞれの取組みは独立しながらも相互に関係しており、横断的な研究が求められます。

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